つぶつぶつぶやき

日々の出来事や、思うこと、私の経験をつぶやきます。

出会い

私の名前は「中沢倫子」
私が始めて「柏原」に会ったのは、二十八歳の時。

私の会社で蕎麦店と提携して運営することになった。
その蕎麦店の店長が柏原だったのです。

柏原が私の事務所へ挨拶にきて、私は関客室へと案内しコーヒーを出した。

コーヒーを出し終え席へ戻った私は同僚に「あの人だれ?」尋ねた。

同僚はいたずらっぽく笑って「柏原君のお父さんですよ」と言った。

そう、柏原は私の同僚の父親であった。

そのことを知らないのはどうやら私だけのようであった。

柏原は私の会社の寮でしばらく暮らすことになった。

私が上司誘われて柏原の蕎麦を食べに行った。

柏原の印象は、接客業でありながら、笑わない人。

そういえば、息子の柏原君もあまり笑わない印象であった。

私は息子の柏原君とも社内ですれ違う程度の関係でしたが、とても印象が強く残っている。

と言うのも、柏原君が昇進して会社の制服が変わった時、私が柏原君の制服のズボンの裾上げを夜なべをしてやってあげたにも関わらず、柏原君は古い制服をなかなか返してくれずに、困った私は「制服を返してください!」と注意をしたのです。

私がこの会社において注意をしたのは、後にも先にも柏原君だけなのです。
だから、強く覚えているのです。

一〇年後